日本語補習校 安全係の巻

土曜日に行われる補習校というとかなりこじんまりしたものを想像すると思いますが、当家の子供たちの通うロンドン補習校アクトン校舎は、7年生まである日本語科を入れると700人という、かなりの規模になります。(日本語科は日本人以外の方で、何らかの理由で日本語を学びたい子供たち対象です。)これだけの人数の子供たちが観光バス4台と父兄の車で登校するわけですから毎週土曜日の学校周辺は大混雑になります。

日本も同じだと思いますが、父兄にはいろいろな係が回ってきます。そのうち一年に必ずどうしてもやらなければいけないのが「安全係」で、この朝の大混雑の交通整理が主な役目です。昨日は当家の当番、小生、お勤めを果たして参りました。

校庭には大体120-130台の車が止まれるのですが、この「安全係」の主な役目がそれを順番に誘導することです。そんなに難しい仕事ではないのですが、なんと言っても他の担当の父兄も1年に1回しかやらない。一応統括してくださっている方がいらっしゃると言っても、その方とてプロではなく、人員配置とかサインとかまで決めてシステマティックにやってるわけではない。ということで、どうしても初めはギクシャクした雰囲気で始まります。実はこの車の誘導、慣れないと結構難しい。自分がドライバーの立場になってみればわかることですが、誘導者が意思表示をはっきりさせないとドライバーにはどうして欲しいかが伝わらない。伝わらないと、思い通りには駐車してもらえない。この至極単純な仕組みに気がついてからは身振りを大きくするようにしました。腕を高々と上げて「こちらまで来てくださぁーい。」手を回して振って「こちらに曲がってくだぁーい。」こうなってくるとだんだん面白くなってきて「ふむふむ、ならば角々に人を配置して、後何台スペースがあるかをサインを決めて連絡しあえば効率的だな」と運用マニュアルでも作りたくなってきます。実際、人間というのはおもしろいもので、中盤を過ぎるとだんだん各自の持ち場、役割、サインが決まってきて、だんだん効率的に先導が出来るようになってきます。そうなってくるとますます面白く、動作も軽やかに、、、よく、交通整理のおまわりさんで踊りながら車の先導をする人がいますが、その方の気持ちが良くわかるようになってきます。(実際、ちょっと踊っちゃいそうになった)

ところで観光バス。これらのバスは、停車位置が決まっているので我々の管轄外です。ロンドンから離れたところに住む子供達が利用するこのバスは、学校とは関係なく父兄が特別にドライバーと車両をハイヤーしているもので、Walton-on-Thames、Swindon、Oxford等からのルートがあるらしいです。かなり遠くから来るバスもあり、バスの発着場所に朝は7時集合、帰りは2時に帰着。しかも皆がその近くに住んでいるわけではないでしょうから、それに応じて前後1時間弱くらいはかかってしまう計算。補習校の授業は3時間弱ですから、それ以上の時間を登下校に費やすことになり、さらにはお弁当も2つ持っていかないといけないことになります。子供も大変なのです。(ちなみに当家も普段はこれを利用)

補習校に通う子供の父兄の車はある意味特徴的でした。(つうか、これが社会の縮図か。)大企業の駐在の偉い方の車は高級ドイツ車。(昨日の最高級車はBMW760i)後はドイツ車中心に、肩書きとともにランクが下がっていき、BMWの3シリーズまで行ったところで今度は日本車に移る。駐在でない方はごくごく一般の車、、、フォードとか、ヴォクソール(オペルの英名)とか、フォルクスワーゲンとか。でなければ、逆にものすごい高級車だったりする。なんだかこれを見てると大企業の方々の車、贅沢しすぎとおもいますよねえ。ただ、日本にいるガイジンがいい車に乗っているのと同じ論理で、会社の命令で異国に赴任させられていることへの補償と言う意味合いもありますし、それ以上に欧米企業はカンパニーカー(=会社から支給される)を給料の一部として扱うという文化があります。一説にはイギリスを走っている車の50%はカンパニーカーだとか。つまり、車を見ればその人の会社での地位がわかる、、という仕組みです。欧米というのは、もともと不平等な社会なのです。

ちなみに、私の車は典型的中間管理職的車種のBMW320iです。Touring(ワゴン)なところが家族持ち、スポーツパッケージにして18インチホイール、スポーツサスペンションでちょっと車高を低くしているところがささやかな体制派への抵抗、というところでしょうか。