初恋 ☆☆☆★

思えば小生が生まれた時代はあんなだったのでした。もちろん鮮明な記憶はないけれど、日本はまだ戦後の混乱からやっと立ち上がったばかり。今に比べれば不便な世の中だったのでしょうが、時代のエネルギーと言う意味では比較にならないくらいだったのだと想像します。ということで、「初恋」。「篤姫」を欠かさず見る程の宮崎あおいファンではないけれど、ちょっと気になっていた映画です。日本と言う国は良質な映画をテレビで高画質で大量に放送してくれるからありがたい。こりゃDVDやBlu-rayパッケージソフトが売れないわけですね。

この映画、宮崎あおいの抑えた演技もさることながら、とにかく雰囲気が良い。直接的に覚えているはずのない昭和40年代初期。出来たら自分もあんな時代に生まれたかった、と妙に肯定的に思わせる雰囲気です。ストーリーが妙に真実味のあるのですが、一説には作者である中原みすず自身がこの三億円事件の犯人で、この作品自体が自叙伝(もしくは告白?)になっているようです。宮崎あおい自身、作者と話をしてみてこの物語が真実であると確信を持ったとインタビューに答えています。まあ、斜めに見れば映画の宣伝じゃーん、と思ってしまいますが、もしこの作者が真実を語っているとしたら、それはそれでなんだか素敵な話ではありませんか。

いつも思うのですが、大学を卒業してから20年。そのさらに20年前の出来事。でも、小生が生まれる20年前はまだ日本は太平洋戦争の真っ只中だったのだよなあ。時間はつながっている。昨日があるから今日があり、今日があるから明日がある。。。

宮崎あおいも良いし、妙に懐かしい気分にさせてくれたので、星三つ半☆☆☆★。